抄録
68歳,女性.不整脈と心拡大のため紹介受診となったが,検査室への移動中に意識消失発作を生じ,血圧低下を認めたため緊急入院となった.超音波検査と造影CTにより心タンポナーデが確認され,経皮的に心嚢ドレナージを施行した.その後の血管造影で左冠動脈回旋枝に92mm×68mmの冠動脈瘤を認め,同病変よりの出血が原因と考えられた.手術は人工心肺下に冠動脈瘤に流出入する異常血管の結紮と瘤壁の切除を行った.経過は良好であり,術後25日目に退院した.1年後のトレッドミル検査で虚血所見を認めなかった.冠動脈瘤は無症候性であることが多いが破裂のさいには重篤な症状をひき起こすため,迅速な診断と治療が必要であると考えられた.