日本栄養士会雑誌
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小児における咀嚼にかかわる食育の効果を評価するための指標
佐藤 ななえ吉池 信男
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2011 年 54 巻 11 号 p. 809-816

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抄録

日本人小児における咀嚼行動にかかわる食育の効果を評価する指標として、何が適切かを明らかにするため、昭和58 年~平成22 年に発表された論文について、データベース「医学中央雑誌」および「MEDLINE」を用い、系統的に収集・分析した。最終的に選択された13 件の論文を精査し、エビデンステーブルとして整理した。咀嚼行動の評価には、(1)自記式質問紙による咀嚼習慣の把握、(2)小児用簡易咀嚼回数計を用いた測定(咀嚼回数、食事に要した時間)、(3)ビデオ観察の3 種類が、咀嚼能力の評価には、(4)咬合力測定、(5)ガムを用いた咀嚼テストの2 種類が用いられていた。集団に用いる場合、これらの評価指標は、妥当性や適用性(経費、労力、時間)といった点で、それぞれ長所と短所がある。したがって、実施可能性および妥当性の許容範囲から、食育プログラムを実際に行う諸々の状況においては、(1)と(2)を組み合わせて用いる方法が最良の選択肢と考えられた。また、本論文において、筆者らは、咀嚼行動(噛まない)と咀嚼能力(噛めない)の本質的な違いを明確に示したが、小児の咀嚼にかかわる食育の適切な介入プログラムの開発においては、この2 つの点をどちらも考慮に入れる必要がある。

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© 2011 公益社団法人 日本栄養士会
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