日本栄養士会雑誌
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身体障害者施設成人入所者の身体計測値基準データ
片山 夕香吉池 信男政安 静子平野 孝則佐藤 明子稲山 貴代
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2011 年 54 巻 7 号 p. 482-491

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抄録

本研究は、身体障害者施設成人入所者の栄養アセスメントに活用できる、性・年齢階級別のパーセンタイル値を含む身体計測値の基準データを提示することを目的とした。調査時点で正式登録のあった全国の身体障害者入所全施設(470 施設)に対し、年齢階級(30 歳代から50 歳代)、性、原疾患、日常生活自立度、身長、調査時点の体重、1 年前の体重、5 年前の体重のカルテ調査を依頼した。最終的に49 施設から1 , 217 名分の回答が得られ、調査内容に欠損のない1 , 059 名(男性597 名、女性462 名)を解析対象とした。日常生活自立度は、男性、女性ともに生活自立は10% に満たず、準寝たきりが約30%、寝たきりが約60% を占めた。調査時点での身長、体重データから、男性では過体重(BMI≧25 kg/m2)12%、低体重(BMI<18 . 5 kg/m2)35%、女性では過体重18%、低体重32% であった。5 年前の体重を用いた後ろ向きデータから、男女いずれも体重が減少する傾向が見られ、その減少率は男性3%、女性5% であり、健常者中年期の年齢変化による体重推移とは対照的であった。この体重減少には年齢階級による違いは見られなかった。なお、原疾患によるサブグループ解析では男性においてのみ、脳性麻痺のサブグループのBMI と脳血管障害のサブグループのBMI に差が見られた。これらの結果から、身体障害者に対する栄養支援の重要性が示唆された。

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© 2011 公益社団法人 日本栄養士会
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