日本栄養士会雑誌
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管理栄養士養成大学の公衆栄養学実習における災害時の栄養に関する教育の試み
須藤 紀子
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2012 年 55 巻 11 号 p. 890-899

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抄録

平成23 年度に某管理栄養士養成大学の公衆栄養学実習で実施された災害時の栄養に関する教育とそれに対する学生からのフィードバックを一事例として示した。合計7 時間の実習の中で、インターネットによる調べ学習とグループ発表、およびクロスロードを実施した。①クロスロードは、職務や被災経験のない学生に、当事者として災害対応を考えさせる点で優れている。②クロスロードは、事前学習と組み合わせて実施し、決断する際に知識を応用できるようにすると学習効果が期待できる。③調べ学習やクロスロードを通じて、学びや楽しさはあったものの、公衆栄養学関連科目全体の中で、災害時の栄養を学ぶ優先順位は低い。④学生による優先順位の決定には、他科目との重複がないことや他の場面でも役立つことが重視されており、東日本大震災が発生しなかった場合、優先順位はさらに低下した可能性もある。現在、災害に対する学生の関心は高まっており、大震災のイメージを全員が共有できている今は、教育のチャンスといえる。

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