本研究は、高齢者介護施設で行う栄養教室が、施設周辺地域住民の栄養・食生活改善につながり、地域や施設内へ波及し、施設との良好な関係構築のきっかけになることを明らかにすることを目的として行った。「食事バランスガイド」を使用した栄養教室を実施し、栄養教室参加者(介入群、n=14)とアンケート参加者(非介入群、n=12)に分かれ、両群の比較を行った。その結果、介入群に「食事バランスガイド」の知識や理解に良好な改善が見られた。栄養教室で参加者が色塗りをした食事バランスガイドを食堂に掲示したところ、職員や利用者の掲示による波及効果も明らかとなった。さらに、参加者全員から栄養教室が楽しかったという回答と、栄養教室継続の希望があり、ほぼ全員が今回のような栄養教室実施が、施設と施設周辺地域住民との日常的に良好な関係を構築するきっかけとなると回答した。以上の結果から、栄養教室実施は、施設周辺地域住民の栄養・食生活改善につながり、地域や施設内へ波及し、施設との良好な関係構築のきっかけになることが推測された。