日本栄養士会雑誌
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災害時の栄養・食生活支援に対する自治体の準備状況等に関する全国調査 ~地域防災計画と備蓄について~
山田 佳奈実須藤 紀子笠岡(坪山) 宜代山村 浩二山下 雅世山本 眞由美下浦 佳之小松 龍史
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2015 年 58 巻 7 号 p. 517-526

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抄録

東日本大震災から2.5年後の自治体の災害への準備状況等を把握することを目的とし、全自治体(47都道府県、20指定都市、42中核市、8政令市、23特別区、1,649市町村)を対象に質問紙調査を行った。回収率は71.1%であった(N=1,272)。地域防災計画等に 「家庭における水や食料の備蓄に関すること」 や 「行政としての備蓄する水や食料に関すること」 が示されている自治体は、それぞれ71.1%、84.6%であった。地域防災計画等に示されている通りに備蓄している自治体は18.9%で、満たしていない理由は 「予算がない」 が最も多く、67.5%であった。管理栄養士・栄養士が援助食料の分配に関与する体制となっている自治体は6.1%であり、東日本大震災の際、自治体から被災地に派遣された栄養士のうち、その業務が専門的でない一般業務にとどまったところが28.2%であった。自治体における備蓄の整備を進めるとともに、家庭における備蓄等、災害に備えた自助努力を促していくことも必要である。また、管理栄養士・栄養士が専門性を発揮できる体制づくりが求められる。

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