2020 年 63 巻 10 号 p. 559-566
本研究では慢性腎臓病(CKD)患者の不安軽減に対する料理教室の効果を明らかにすることを目的として、CKDステージ3a~5の患者94名を対象に、管理栄養士が実施する料理教室への参加理由や食事療法への不安感等に関するアンケート調査を実施した。料理教室への参加状況により3年以上継続群:A群、3年未満継続群:B群、不定期・非参加群:C群の3群に区分し、Kruskal -Wallis検定と多重比較を行った。その結果、「食事療法の食事をおいしいと感じている」、「気軽に相談できる患者同士のつながりがある」の項目で3群の各群間に統計的有意差が認められた。料理教室への参加理由で、「同じ病気の患者さんと知り合いたかった、話したかったから」、「料理教室での食事が楽しみだから」でA群とC群の間に有意な差が認められた。料理教室に継続して参加することが、患者に「治療食をおいしいと感じること」と「患者同士のつながり」をもたらし、両者が疾病や食事療法への不安軽減につながることが示唆された。