日本栄養士会雑誌
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介護・看護関連事業所および専門職から見た療養高齢者の栄養・食生活支援における課題と必要な取り組み
織本 智香 山田 五月饗場 直美
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2020 年 63 巻 6 号 p. 322-327

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抄録

本調査の目的は、療養高齢者の栄養・食生活支援上の課題を明確化し、課題解決に向けた必要な取り組みおよび体制構築に対する方向性を明らかにすることである。対象者は、東京都の西多摩圏域に所在する介護および看護関連事業所および各専門職(介護支援専門員、看護師、訪問介護員)である。調査方法は、自記式調査用紙を用いたアンケート調査および聞き取り調査である。 栄養・食生活支援上の課題があると90%以上が回答し、その中で、最も優先度が高い課題は、介護支援専門員が「適切な水分摂取量への対応」、看護師が「摂食・嚥下機能の評価」、訪問介護員が「栄養バランスのとれた食事への対応」と職種別に異なっていた。在宅高齢者の栄養管理の必要性について「必要がある」と回答した職種が多く、栄養・食生活支援の実施について困ったことがあるとの回答があった。しかし、相談先がないと回答する職種が各職種とも20%以上存在した。本調査は、今後、地域で多職種連携を行う際の参考となるデータであり、ひいては地域包括ケアシステム推進に向けた一助となる。

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© 2020 公益社団法人 日本栄養士会
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