日本食物繊維研究会誌
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青年期女性の排便習慣に対する小麦ふすまシリアルの改善効果
森本 聡尚伊藤 輝子中嶋 洋子田中 美和子永山 スミ子
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1998 年 1 巻 2 号 p. 15-22

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抄録
 健康な青年期女性46名を被験者の自覚等から便秘群及び非便秘群に分け,排便状況調査ならびに食事調査を実施した。その結果,両群とも食事量が少なく,食物繊維ならびに他の栄養素の摂取量不足が確認された。被験者の自覚通り,便秘群は非便秘群より排便回数,排便量ともに有意に少なかったが,排便量は両群とも不足傾向が認められた。このような状況下で1日当たり約5gの食物繊維が摂取できるように小麦ふすまを配合・加工したシリアル食品(WB)ならびにプラセボシリアル(P)を1週間ずつクロスオーバーで摂取させたところ,小麦ふすまシリアルの摂取により排便回数は両群とも有意に増加し(p<0.05),排便量は便秘群において有意に増加(p<0.05),非便秘群においては増加傾向が見られた。排便回数,排便量ともにWB摂取による改善は非便秘群よりも便秘群においてより顕著であった。WB摂取期間とP摂取期間のエネルギー,糖質,脂質,タンパク質,ナトリウム,カルシウム及び鉄の摂取量にはほとんど差がなく,食物繊維,特に不溶性食物繊維の摂取量が有意に増加した。以上の結果は,小麦ふすまシリアルにより,他の栄養素摂取量を減少させることなく,自然に食物繊維が補給でき,その結果排便状況の改善が図れることを示唆していた。
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