抄録
水溶性食物繊維の公定定量法として用いられているプロスキー変法(酵素-HPLC法)により,イソマルトオリゴ糖混合物(IMO)および同水添物(IMO-H)の消化性を検討し,以下の結果を得た。1.IMOおよびIMO-Hに適用したところ分解率は酵素量および基質濃度に大きく影響を受けた。しかし,対照に用いた水溶性食物繊維(SDF)およびデンプン加水分解物の分解率は影響を受けずほぼ一定の値を示した。2.IMO,IMO-Hにみられた糖質の組成変化は,これまでの検討で得られた小腸粘膜由来の酵素を作用させた変化と類似した結果であった。3.本法はアミラーゼ,アミログルコシダーゼ,マルターゼ,イソマルターゼにより分解を受けるデンプン由来のオリゴ糖の消化性を推定するには有用であると考えられた。そして,本法の適用を更に多くのオリゴ糖に広げる,或いは本法を有効エネルギーの評価に用いるためには生体の各消化器官での消化メカニズム,関与する酵素等を考慮し,反応条件の改良を行う必要があると考えられた。