抄録
歯科鋳造用 32Ni-23Cu-25Mn 及び 84Ni-9Cr 合金の castability を spiral 状及び up and down 状のコイル型鋳型によって調べた. その結果, これら合金の直径1.0 mmのコイル型の castability は, O型とV型のルツボ形状やスプルー線の取りつけ位置等によって余り大きな影響をうけなかったが, 前者の低溶融合金における castability は後者の場合の約 40%に比べて 2倍以上の値(約 89%)を示した. また, それらの合金の castability はコイル部の直径が減少, 即ち細くなるにつれて低下する傾向を示した. 他方, up and down 状のコイル型鋳型による低溶融 32Ni-23Cu-25Mn 合金の castability は, スプルー因子, 即ちスプルー直径よりもコイル部の太さ(直径)が大きくなるとき, 低下した. すなわち, (コイル部の直径/スプルー部の直径)の比の自乗が 1.0 以下では, castability はほぼ一定になるが, 2.0 のとき極めて低下することがわかった. 更に, 低溶融合金について, 2 種類のコイル型鋳型を用いた castability は(Mingot/Mcoil) という重量比の増加とともに著しく減少することが判明した.