抄録
CAD/CAMを歯科医療の分野に適応し, 歯科補綴物の自動設計/製作システムを開発することを当面の目標としている.本歯科用CAD/CAMシステムでは, 2種類のデータを扱っている.冠内面データは, 支台歯模型をレーザ計測した, メッシュ状に配列された点データである.一方, 冠外面データは, 形態学上の特徴点や咬合学上の重要点を三次元ポイントデジタイザ(3DPD)で計測したCADデータベースを変形して作成したもので, レーザ計測データのような一定の計測ピッチを示さない.また, 外面データは, 計測点間をスプライン補間した係数表示となっている.歯頸部マージンは冠内面, 冠外面のデータを共有する部位である.加工のためには, 両データの結合が望ましいが, この様に構造が異なるので, 両データの結合は数学的には非常に難しい.そのため, 支台歯模型のマージンを3DPDで追加計測することによって, 冠外面データにマージン形態を与え, 両データの結合を図った.