歯科材料・器械
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10 巻, 3 号
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原著
  • 鹿島 宗幹, 勝木 紘一
    1991 年10 巻3 号 p. 319-327
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    シリコーン系弾性裏装材のアクリル義歯床に対する接着の耐久性を向上させるために, 付加型シリコーンゴム用の接着剤を試作した.すなわち, シリコーンゴムと化学的に反応する官能基(≡Si-H基)を有する接着剤用アクリルモノマー(γ-MPTDMS)を合成し, このモノマーとMMAとの共重合体のトルエン溶液を接着剤として用いて, アクリルレジンに付加型シリコーンゴムを接着させた.引張り接着強さを測定した結果, 10重量%程度の濃度までは, 接着剤中の共重合体の濃度の高い方が接着強さが高くなることを認めた.また, 試験体を80℃の熱水中に14日間浸漬しても接着強さはわずかしか低下せず, 優れた耐水性を示した.したがって, 試作した接着剤を付加型RTVシリコーンゴムとアクリル義歯床との接着に応用するならば, 耐水性が高く, 口腔内で義歯床から〓離しにくいシリコーン系弾性裏装材を開発しうると考える.
  • 齊藤 仁弘
    1991 年10 巻3 号 p. 328-343
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    現在臨床で用いられているリン酸亜鉛セメント, グラスアイオノマーセメント, カルボキシレートセメントおよびアルミン酸セメント計14製品について, 0℃, 37℃および60℃の温度環境における熱拡散率, 比熱容量, 熱伝導率を非定常法のクセノン・フラッシュ法によって測定し, 検討した.また, 熱的性質とセメント粉末の成分および粒径との関係についても検討を行った.その結果, 次のことが判明した.セメントの熱拡散率は, 測定温度0℃において最大値を示し, 測定温度の上昇とともに減少した.比熱容量は, 測定温度60℃において最大値を示し, 測定温度の上昇とともに増加する傾向であった.熱伝導率は, 測定温度0℃において最大値を示し, 測定温度の上昇とともに減少した.セメント粉末中に含まれるZn, Mg, Al, Siの量が多いと, 熱拡散率および熱伝導率は大きくなり, 比熱容量は小さくなった.セメント粉末の粒径が小さいと, 熱拡散率と熱伝導率とが大きくなり, 比熱容量は小さくなった.
  • 小山田 哲
    1991 年10 巻3 号 p. 344-357
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    ヒト象牙質のハイドロキシアパタイトに由来するカルシウムを利用して, 硫酸カルシウム二水塩を結晶成長させた象牙質とコンポジットレジンとの接着特性を結晶成長させた象牙質の様相, せん断接着試験およびその破断面のフラクトグラフィーから評価した.Smear layerを残留させて結晶成長させた象牙質は, リン酸エッチングした場合に比較してdentin plngが存在し, 管間象牙質および管周象牙質の損傷が軽微であった.その結晶成長処理した象牙質およびリン酸エッチング処理した象牙質とコンポジットレジンとの接着強さには, 危険率5%で有意差は認められなかった.
  • 川中 正雄, 渡辺 隆司, 大村 [コウ]一, 安 弘, 高橋 純造, 木村 博
    1991 年10 巻3 号 p. 358-361
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    CAD/CAMを歯科医療の分野に適応し, 歯科補綴物の自動設計/製作システムを開発することを当面の目標としている.本歯科用CAD/CAMシステムでは, 2種類のデータを扱っている.冠内面データは, 支台歯模型をレーザ計測した, メッシュ状に配列された点データである.一方, 冠外面データは, 形態学上の特徴点や咬合学上の重要点を三次元ポイントデジタイザ(3DPD)で計測したCADデータベースを変形して作成したもので, レーザ計測データのような一定の計測ピッチを示さない.また, 外面データは, 計測点間をスプライン補間した係数表示となっている.歯頸部マージンは冠内面, 冠外面のデータを共有する部位である.加工のためには, 両データの結合が望ましいが, この様に構造が異なるので, 両データの結合は数学的には非常に難しい.そのため, 支台歯模型のマージンを3DPDで追加計測することによって, 冠外面データにマージン形態を与え, 両データの結合を図った.
  • 嶋田 潤一
    1991 年10 巻3 号 p. 362-375
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    チタンおよびチタン合金のろう付方法を確立することを目的として実験を行った.ろう付の熱源として, ハロゲンランプによる赤外線照射器を使用し, チタンろう, 金ろう, および銀ろうを用いて, 雰囲気, ろう付間隙, 加熱時間, ろう材の置き方, 埋没方法, 予備加熱温度, 加工材と鋳造材による被ろう付試料等の各々の条件の違いについて検討を行った.ろう付強さは, 万能試験機により引張試験を行い, その引張強さで求めた.結果は次の通りである.アルゴン雰囲気中においてはチタンろう, 金ろう, および銀ろうがろう付可能であったが, 大気中では銀ろうのみが使用可能であった.ろう付間隙は, 300μmまでの間では有意差は認められなかった.埋没固定法では, 約500℃の予備加熱と酸によるろう付部の洗浄が有効であった.被ろう付試料の加工材と鋳造材の違いによる有意差は認められなかった.
  • 大坪 邦彦
    1991 年10 巻3 号 p. 376-383
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    超弾性型NiTi合金線は, 形状記憶効果, 超弾性特性, スプリングバック特性などの優れた性質を持っているため, これらの特性を, 可撤式矯正装置へ応用することを目的として本研究を行った.それには, まずこの合金線を模型上に適合すること, 次いで適合形態を記憶させること, 記憶した合金線の荷重をコントロールすることが, この種の装置を製作する上で必要である.そこで本研究では, これらの必要事項を満たすため, 二段階の熱処理を設定し, それぞれについて最適な熱処理条件を検討した.得られた知見は以下の通りである.1.450℃90分間の熱処理(一次熱処理)によって, NiTi合金線の変態温度を室温以上にし, 技工操作の点から便宜上, 形状記憶合金にすることが可能であった.2.適合された形態を記憶させるのための二次熱処理条件としては, 480℃〜520℃が適しており, この熱処理により機械的特性をほぼ元に戻すことが可能であった.490℃前後の熱処理では適合形態の記憶に時間がかかるとともに荷重レベルは低いものが得られ, 510℃前後の熱処理においては短時間で記憶が可能であるとともに荷重レベルの高いものが得られた.すなわち荷重レベルに関しては治療内容に応じて選ぶことが可能であると考えられる.
  • 吉田 圭一, 平 曜輔, 松村 英雄, 田中 卓男, 熱田 充
    1991 年10 巻3 号 p. 384-392
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    硬質レジンジャケット冠と合着用セメントとの接着強度の向上を図ることを目的として, 光重合型オペークレジン硬化体の表面処理がセメントとの接着強さに及ぼす影響を検討した.使用した光重合型オペークレジンは, デンタカラー(クルツァー), サーモレジンLC(GC), ニューメタカラーL(サンメディカル), セシード(クラレ)の計4種類である.合着用セメントは, エリートセメント100(GC, 以下EC), フジアイオノマータイプI(GC, 以下FI), スーパーボンドC&B(サンメディカル, 以下SB), パナビアEX(クラレ, 以下PE)の4種類を採用した.円盤状のレジン硬化体試料は硬質レジンジャケット冠を想定し, 光重合型オペークレジンと光重合型前装レジン(デンタカラーDA10)とからできており, ともにデンタカラーXSにて光照射し重合した.その後, 硬化したオペークレジンの表面処理を施し, オペークレジン面どうしを合着用セメントで突き合わせたものと, 金銀パラジウム合金(モリタ)とセメントで合着した2種類の試験片を作製し, 剪断接着試験に供した.オペークレジン硬化体どうしをセメントで合着した場合は数種類の表面処理が行なわれた結果, 硬化体表面をアルコールで拭き取り, クリアフィルポーセレンボンド(クラレ)を塗布する方法(以下Al+PB)が, 無処理のものと比較してEC以外の3種類のセメントいずれを用いても統計的に高い接着強度を示した.光重合型オペークレジン硬化体をAl+PBで表面処理しECを用いた場合は, 0MPa, FIを用いた場合は20MPa前後の接着強度を示した.これに対し, SBやPEの接着性レジンセメントを用いた場合は, いずれも30MPa以上の高い接着強度を示し, 前装レジン内部からもぎ取れるという被着体破壊が生じた.また, オペークレジン硬化体をAl+PBで表面処理し金銀パラジウム合金とセメントで合着した場合も, 無処理のものに比して高い接着強度を示し, 接着耐久性も優れていた.以上のことから, オペークレジン硬化体の表面をアルコールで拭き取り, シランカップリング剤を含んだボンディング剤を塗布することによって, 合着用セメントとの接着強度が改善され, この処理方法が硬質レジンジャケット冠をセメント合着する際に効果的であると考えられた.
  • 宮川 修, 渡辺 孝一, 大川 成剛, 中野 周二, 塩川 延洋, 小林 正義, 田村 久司
    1991 年10 巻3 号 p. 393-403
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    巻き込まれた埋没材との反応によってできたと考えられるチタン鋳造体の内部欠陥を光顕で観察し, X線マイクロアナライザで欠陥とその周囲を元素分析した.観察した内部欠陥は, 巣を伴わないものと, 不規則な形, あるいは円形の巣を伴うものと様々である.ほとんどは, 酸素安定化α相と酸素の濃度分布に対応した針状組織とをともない, Si, Alの他に, 場所によってはPとMgも検出され, 鋳造体の表層にできる多層構造の組織に似ている.注目すべきことは, 内部欠陥, 特に酸素安定化α相やその近傍がクラックの発生源になることである.クラックの多くは塑性曲げ変形の過程でできたと考えられるが, 鋳造の冷却過程でできたものもある.
  • 木村 博, 寺岡 文雄, 杉田 順弘
    1991 年10 巻3 号 p. 404-409
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    もち状レジンを注入し, 注入後の保圧と義歯床の適合性の関係について検討した.もち状レジンを60kgf/cm^2の圧力で1分間保つと, もち状レジンは石こう型内へ完全に充〓された.圧力が約10kgf/cm^2まで低下したときに, φ8×5mmとφ8×10mmの栓を注入口から挿入すると, 圧力はそれぞれ約35と50kgf/cm^2に上昇した.注入法でもち状レジンを充〓して作製した試料の適合性は, 保圧しなくても, ベント止めを付ければ, 〓入法の場合より優れていた.注入口に栓をして保圧した状態で重合すると, 〓入法の場合より30〜50%程度適合性は向上した.
  • 二階堂 徹, 細田 裕康, 永田 勝久, 中林 宣男
    1991 年10 巻3 号 p. 410-415
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    各種前処理剤によって処理した象牙質およびエナメル質に対する光重合型コンポジットレジンの接着性を検討した.前処理剤としてpH7.4に調製した0.5M EDTA 2Na[EDTA5-0(Na)], 0.3M EDTA 2Na-EDTA Fe・Na[EDTA3-2(Na/Fe)], 0.5M EDTA 2NH_4[EDTA5-0(NH_4)]および0.3M EDTA2 NH_4-0.2M EDTA Fe・NH_4[EDTA3-2(NH_4/Fe)], さらに10%クエン酸(10-0), 10%クエン酸-3%塩化第二鉄(10-3), 65%リン酸(H_3PO_4)を用いた.その結果, 象牙質ではEDTA3-2(Na/Fe), EDTA3-2(NH_4/Fe)および10-3で前処理したとき高い接着強さが得られることがわかった.一方, エナメル質に対しては, H_3PO_4が最も高い接着強さを与えた.これらのデータから象牙質に対する接着においては前処理剤に含まれる鉄イオンが明らかに影響を及ぼしていること, エナメル質に対する接着においては前処理剤の脱灰力の大きさが大きく影響を与えることがわかった.
  • 日本歯科理工学会歯科器材調査研究委員会
    原稿種別: 本文
    1991 年10 巻3 号 p. 416-
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
  • 西村 文夫
    原稿種別: 本文
    1991 年10 巻3 号 p. 417-
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
  • 野口 八九重
    原稿種別: 本文
    1991 年10 巻3 号 p. 418-423
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 暎
    原稿種別: 本文
    1991 年10 巻3 号 p. 424-
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
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