抄録
象牙質へレジンを接着するうえで, 被着体である脱灰象牙質の物質透過性と接着剤を構成するモノマー自体の拡散力が重要である.象牙質内に拡散させたモノマーを確実に重合させると, 接着界面の象牙質側に樹脂含浸層が形成され, これの生成が高い接着強さを得るための重要な要素である.著者らは, 象牙質の物質透過性がモノマーの拡散速度に影響を与え, 接着強さや接着の耐久性に影響を与えることを知った.従来4-META/MMA-TBBレジンで6MPaの接着強さしか得られなかったリン酸処理象牙質に, HEMA処理を追加することにより接着強さが16MPaに向上し, 接着試料のSEM, TEM観察によりリン酸処理のみの場合に認められなかった樹脂含浸層の傾城が確認された.