歯科材料・器械
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原著
フッ化インジウム配合の合着用セメントの性質 : (第二報)セメント液部にフッ化インジウムを配合した場合
橋本 弘一和田 賢一清田 俊一吉田 修覚本 嘉美赤岩 祐一安藤 芳昭
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1992 年 11 巻 1 号 p. 30-37

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抄録
各種セメント練和液中にフッ化インジウム(InF3)を添加した各種合着用セメント(りん酸亜鉛セメント, ポリカルボキシレートセメント, グラスアイオノマーセメント)の物性を評価する目的で実験を行った.F-イオン濃度を約100ppmに設定したフッ化インジウムを含む各セメント練和液を用いてセメントを練和し, 各セメントにつき硬化時間, 圧縮および引張強さ(24時間後), 被膜厚さ, 崩壊量(24時間後)ならびにフッ素イオン放出量(24時間後)を測定し, 得られた結果をInF3無添加のセメントあるいはInF3をセメント粉末部に添加したセメントと比較検討した.その結果, りん酸亜鉛セメントにおいては, 練和液中へのInF3の配合により, 機械的強度と崩壊量の減少が認められ, りん酸亜鉛セメントとポリカルボキシレートセメントからのF-イオンの放出量は, 粉末中にInF3を添加したセメントからの放出量に比べて小さかった.りん酸亜鉛セメントおよびポリカルボキシレートセメントの粉末中へInF3を添加した場合, 崩壊量が増加し, 練和液中へInF3を添加した場合では, 崩壊量は減少し有意差が認められた.グラスアイオノマーセメントにおいて, 粉末ならびに練和液中へのInF3の添加は共に崩壊量は増加した.この結果, りん酸亜鉛セメント, およびポリカルボキシレートセメントの練和液中へのInF3の添加により大きさ物性の劣化をせずにフッ素イオンの放出が可能と考えられた.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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