抄録
3種の市販の合着用セメント(りん酸亜鉛セメント, ポリカルボキシレートセメントおよびグラスアイオノマーセメント)粉末部へのフッ化インジウム添加の影響を検討する目的で実験を行った.各セメントの粉末部にInF3(5〜7wt%)を含むセメントを練和して硬化時間, 圧縮および引張強さ(24hr), 被膜厚さ, 崩壊量(24hr), フッ素イオンの放出量の測定を行い, InF3無添加の場合と比較した.機械的強さに関しては今回添加したInF3量では影響を受けなかった.InF3を粉末部に添加したポリカルボキシレートセメントおよびグラスアイオノマーセメントではフッ素イオンの放出量の増加, InF3を粉末部に添加されたりん酸亜鉛セメントでは, フッ素イオンの放出が認められた.セメント粉末中へのInF3の添加はいずれのセメントにおいても硬化時間, 被膜厚さおよび崩壊量に影響を与え, 有意の差が認められた.