歯科材料・器械
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原著
MEP《N-(2-Methacryloyloxyethyl)-2-pyrrolidone》プライマーを利用した象牙質への光重合レジンの接着に関する研究
猪鹿倉 兼治
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1992 年 11 巻 1 号 p. 89-100

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抄録
トリエチレングリコールジメタクリレート/カンファーキノン/1, 3, 5-トリメチルバルビツル酸からなる光重合型ボンディング剤を用いて, 象牙質と光重合型コンポジットレジンの接着について研究を行った.接着とボンディング剤の硬化時間に対するN-メタクリロイルオキシエチル-2-ピロリドン(MEP)プライマー, 銅イオン, 象牙質の前処理剤の影響について検討した.象牙質を5%リン酸で処理し, MEPプライマーを塗布することにより, 9.2〜10.4MPaの接着強さが得られた.この接着強さの値は市販のコンポジットレジンを用いて通常得られるものより大きかった.ボンディング剤のTMBをジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)と代えると接着強さは6.1〜6.8MPaと低下した.接着強さの向上とボンディング剤の硬化の促進においてMEPプライマーはHEMAプライマーより効果的であった.5%リン酸による前処理は象牙質, エナメル質の両方の接着において効果的であり, 象牙質に対しては40%リン酸より優れていた.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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