歯科材料・器械
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原著
各種浸漬液中におけるポリアクリル酸-リン酸カルシウム系セメント硬化物の化学的変化
宮崎 光治秋山 陽子本川 渉堀部 隆アントヌッチ ジョセフ.M.高木 章三チャウ ローレンス.C.
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1992 年 11 巻 2 号 p. 324-330

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抄録
3種の溶液(人工唾液, リン酸緩衝溶液, 蒸留水)に浸漬した後の, PCA/CPCセメント硬化物のX線解析と浸漬液へのカルシウム, リン酸およびフッ素イオンの溶出量の測定を行った.その結果, 酒石酸およびフッ化第二錫を含むPCA/CPCセメントおよび含まないセメント共, 蒸留水中ではカルシウムとリン酸イオンの溶出が継続していたが, 人工唾液およびリン酸緩衝溶液中では, 約1カ月位から溶出が停止し, 逆に両イオンの取り込みが認められた.そしてX線解析の結果, それらの硬化物のうち, 酒石酸およびフッ化第二錫を添加したセメントは, 人工唾液および蒸留水に浸漬した場合, 硬化物内にフロロアパタイトまたはヒドロキシアパタイトの生成が認められ, さらに, 両添加物を含まないセメントの蒸留水中での長期浸漬のものにも, 僅かなアパタイトの生成が伺えた.また, フッ化第二錫を含むセメントからは, 6ヵ月の間に僅かつづフッ素イオンの溶出の持続が認められた.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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