1992 年 11 巻 4 号 p. 570-577
硬質セッコウ模型はアルジネート印象材との組合せにより面荒れを生じることがある.本実験は界面活性剤溶液でアルジネート印象材を練和することによって, 硬質セッコウの面荒れの改善を図るとともに, 有効な活性剤について探索を試みたものである.実験で使用した活性剤のうち, 4組の印象材-硬質セッコウの組合せすべてに対して, 陽イオン界面活性剤コータミン24Pが有効であり, その1%溶液が面荒れ改善に最も効果的であった.24P溶液は印象材のゲル化反応を幾分抑制し, 印象材の弾性歪みを増加させるが, その影響は小さく, ゲル化した印象面からの水分揮散量に対する影響も少なかった.また, 硬質セッコウに対して硬化遅延剤としての作用も認められた.一方, 硬化時に硬質セッコウが接する面のヌレ性と硬質セッコウの面粗さとの間には有意な差が見られた.