歯科材料・器械
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原著
各種義歯床用軟性裏装材の理工学的性質
有川 裕之寺尾 隆治蟹江 隆人藤井 孝一井上 勝一郎門川 明彦濱野 徹
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1992 年 11 巻 4 号 p. 642-646

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抄録

現在市販されているアクリル系5種類, シリコーン系3種類, フルオロ系, オレフィン系各1種類の計10種類の義歯床用軟性裏装材について, 操作時間および硬化時間, 粘度, 弾性回復率, 弾性率, ゴム硬さ, 寸法変化率の測定を行った.操作時間は最も短いもので2.5分, 最も長いもので17.0分であった.硬化時間は最も短いもので3.8分, 最も長いもので14.3分であった.粘度は1種類を除いて練和後比較的短時間で上昇し始め, とくにシリコーン系材料は急激な上昇を示した.弾性回復率は遅いものでも練和開始後約9分で90%以上に達した.練和開始後30分での弾性率の値は1.51〜2.74×106dyne/cm2で、口腔粘膜組織の弾性率(0.7〜4.4×107dyne/cm2)よりもかなり低い値にとどまった.ゴム硬さはオレフィン系材料と1種類のアクリル系材料(加熱型)が高い値を示した.弾性率, ゴム硬さともアクリル系以外の材料については経時的変化(30日後)は比較的小さかった.アクリル系材料は練和開始後2〜5時間まで膨張し, 最も大きいもので1.6%の寸法変化率を示した.

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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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