抄録
補綴材料は急激に加熱されたり, 冷却されたりして熱ショックを繰り返し受け次第に脆くなる.特に陶材は熱衝撃が入りやすい材料である.陶材の耐熱衝撃性について, サーマルサイクル試験を連続行い, 曲げ強さ, 変形, 表面応力値などの機械的性質にどのような影響を及ぼすか検討した結果次のような結論を得た.1.金属焼付け陶材の熱衝撃性はサーマルサイクルの回数が増えるごとに, 曲げ強さは弱くなり, 曲げ弾性係数も小さくなり, 靱性は次第に小さくなる.2.金属焼付け陶材の表面応力はサーマルサイクルの影響を受けて次第に解放されて小さくなり, また, 変形は応力開放により楕円形に似た形を呈する.3.化学強化した陶材の耐熱衝撃性は処理しない陶材より強かった.