歯科材料・器械
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原著
金属焼付陶材の加熱/冷却過程でのAE挙動
浅岡 憲三吉田 憲一
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1992 年 11 巻 5 号 p. 800-807

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抄録
陶材/合金積層板を加熱, 冷却したときに発生するAE波を測定した.同時に, 積層板中の残留応力の緩和と発生を粘弾性応力解析により調べた.測定されたAE挙動を計算結果と比較して, AE源について議論した.加熱過程では積層板中の不適合応力が緩和される600℃付近の温度域でAE頻度が高かった.これは, 陶材の粘弾性変形による応力緩和に関係して弾性エネルギーが解放され, それがAE法により測定できると考えられた.冷却過程については, 700〜500℃の温度域と300℃以下の温度域でAE頻度が高かった.計算結果との比較から, 高温でのAE源は陶材の粘弾性変形であると考えられたが, 低温でのAE源は特定できなかった.合金の板厚が厚いときには, AEの活動度は低かった.この結果は, 合金の板厚が厚くなると陶材内でのせん断粘性流れが低くなるという計算結果と一致した.ここでの研究から, 加熱, 冷却過程での異種材料積層板中の残留応力の緩和と発生の機構を, 動的温度場で, 調べるのにAE法が有効であることが明らかにされた.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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