抄録
水成コロイド印象材は, 臨床での使用頻度が高い.しかし, この材料はそれ自身が水分を含んでいるため, 水分の損失による経時的な寸法変化に問題点を有している.
そこで, インレーやクラウンブリッジなどの精密印象採得時に用いられる寒天印象材を実験材料とし, その印象表面に再現された20μmの細線で生じた経時的な微小寸法変化を走査型レーザー顕微鏡を用いて測定した.
その結果, 以下の事柄が結論として得られた.
走査型レーザー顕微鏡を用いることによって, 従来の測定では困難であった寒天印象材の印象撤去直後からの微小な寸法変化を非接触で測定することができた.
寒天印象材は経時的に収縮を示し, その収縮傾向は印象材ごとに異なっていた.すなわち, 印象撤去直後から緩やかに収縮する印象材と, 急激に収縮する印象材とが認められた.しかし, 印象撤去から26分後では, 供試したどの印象材もほぼ同じ値であった.