金属焼付用陶材の4点曲げ強度を37℃のArガス中で歪速度8.33×10-5sec-1で測定した.また, 臨界応力拡大係数(破壊靱性値)をSEPB法により測定し, 先に報告した37℃の蒸留水中での5種類の歪速度における4点曲げ強度のデータを用いてクラック成長に及ぼす水の影響を検討した.Arガス中およびこれと同じ歪速度における蒸留水中の強度のワイブル統計処理の結果, 強度は破壊確率が小さい側で一致し, ワイブル係数は蒸留水中では15.3, Arガス中では8.1となった.Arガス中に対する蒸留水中の破壊直前のクラック長さの比を求めると, 破壊確率が高いほど増加し, 最大で約2倍に達した.次に, 破壊は表面の欠陥から始まり, Arガス中のクラック成長量は零であると仮定すると, 蒸留水中で破断直前までに成長したクラック成長量の平均は5〜36μmと見積もられ, 歪速度の減少とともに増加を示した.また, 歪速度が遅くなるにつれて, 個々の試料の成長量はほとんど等しくなり, 欠陥のもとの大きさに依存しなかった.