抄録
ユージノールおよびその関連化合物の生体系における活性を分子レベルで明らかにするため, ユージノールおよびその関連化合物(グアヤコール, フェノール, サフロール)とジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)の相互作用を示差走査熱量計(DSC)および核磁気共鳴(NMR)スペクトルで研究した.
グアヤコールおよびサフロールに比較して, ユージノールは相転移温度を著しく低温シフトさせた.このことはフェノール性水酸基とDPPCコリン酸性基および疎水性アリル基とDPPCアシル基との相互作用にもとづくものである.DPPC/ユージノール(2:1モル比), DPPC/コレステロール/ユージノール(2:1:1)リポソームの1H-NMRスペクトルを研究した.ユージノールのシグナルは広い温度範囲(18〜52℃)でブロードになった.18℃のリポソーム系でこのシグナルは有意差をもって高磁場シフトした.ユージノールはDPPCリポソームと強く相互作用することが明らかになった.