歯科材料・器械
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原著
貴金属合金に吸着したチオバルビツル酸モノマーの耐水性とその表面へのレジンの引張接着強さ
門磨 義則
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1994 年 13 巻 4 号 p. 367-374

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抄録

チオバルビツル酸モノマーで表面処理した歯科用合金に対するレジンの接着の耐水性を評価するために, 歯科用合金に吸着したチオバルビツル酸モノマーの耐水安定性を検討した.チオバルビツル酸モノマーである5-アリル-2-チオバルビツル酸および5-(4-ビニルベンジル)-2-チオバルビツル酸(5VS)をMMAあるいはエタノールに溶解させて4種類の表面処理液を調製した.金属の表面に表面処理液を塗布することによりチオバルビツル酸を吸着させた.金属表面に対する水の接触角や4と60℃の水中での2, 000回の熱サイクル後のレジンの被着体金属に対する引張接着強さを測定した.これらの値を温水中に浸漬する処理の前と後に測定し, 比較することによりチオバルビツル酸で処理した金属に対するレジンの接着耐水性を評価した.被着体表面に対する吸着が弱い場合には, 温水中に浸漬した後に接着させたレジンの引張接着強さは有意に低下した.しかしながら, 表面処理液として5VSのエタノール溶液を用いた場合には貴金属合金に対して温水処理後も比較的に高い接着強さが得られた.これらのことから, この5VSが吸着した貴金属とレジンの接着は長期的に耐水性があることが示唆された.

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© 1994 一般社団法人 日本歯科理工学会
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