歯科材料・器械
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原著
生体材料に関する研究 (その7)
乾燥したキトサンフィルムの機械的性質について
伊藤 充雄新納 亨森 厚二横山 宏太竹内 勝泉中山 優子山岸 利夫
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1995 年 14 巻 2 号 p. 175-180

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抄録
 キトサンフィルムは弾性体であることと, 生体吸収性であることの両者が大きな特徴である. キトサンフィルムは, 乾燥すると非弾性体となるが吸水することで再び弾性体とすることができる. このキトサンフィルムに練り込んだハイドロキシアパタイトから, Ca成分がどの程度溶出するかなどが使用上重要である.
 本研究は乾燥時のキトサンフィルムに添加したハイドロキシアパタイト量と収縮量, 硬さ, 引張強さ, 伸びについてと, Caの溶出量の関係について検討を行った. 結果は次のようであった.
1. 乾燥時の収縮量は, ハイドロキシアパタイトの量が多くなるほど小さくなった.
2. 硬さは, ハイドロキシアパタイトとキトサンゾルの比が4/11のとき最も大きくなった.
3. キトサンだけのフィルムの引張強さは, ハイドロキシアパタイトを練り込んだ場合よりも小さかった.
4. 伸びは, ハイドロキシアパタイトとキトサンゾルの比が2/11のとき最も大きかった.
5. Caの溶出量はハイドロキシアパタイトとキトサンゾルの比が4/11のとき最も大きかった.
6. 乾燥後, 生理食塩水中で湿潤したキトサンフィルムは弾性を有していた.
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© 1995 一般社団法人 日本歯科理工学会
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