歯科材料・器械
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原著
マイクロ波重合用レジンに関する研究
-重合開始温度と添加剤との関係-
箕浦 正孝寺岡 文雄北原 一慶高橋 純造野首 孝祠
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1995 年 14 巻 2 号 p. 265-269

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抄録
 本研究は, マイクロ波の選択加熱を利用して, 模型石こうと埋没石こうに温度差を与え, 粘膜面からの重合開始による義歯床の適合性の向上を目的としている. また, マイクロ波によりレジンが急速加熱されるため, 使用するレジンもマイクロ波重合法に適したレジンを開発する必要がある.
 そこで本論文では, 昇温速度と重合開始温度の関係を検討するとともに, 精製したメタクリル酸メチルに重合促進剤であるN, N-ジメチル-p-トルイジン(DMPT)と重合禁止剤であるハイドロキノン(HQ)を添加することによって重合開始温度の制御の可能性を示差走査熱量計(DSC)を用いて検討した. 得られた結果を以下に示す.
 1. 4種のレジンはいずれも昇温速度の増加に伴って重合開始温度は上昇した. 昇温速度が同じ場合の重合開始温度は, クイックアクロン, 精製MMA, HQを0.0050 wt%添加した 精製MMA, アクロンの順に高くなったが, HQを0.0050 wt%添加した精製MMAとアクロンの重合開始温度には差がみられなかった. 各レジン間の重合開始温度の差は, 昇温速度の影響を受けず一定であった.
 2. 精製MMAにHQを0.0050 wt%まで添加することにより重合開始温度は10℃上昇した.
 3. 精製MMAにDMPTを1.00 wt%まで添加することにより重合開始温度は35℃低下した.
 4. 精製MMAへのHQとDMPTの複合添加による重合開始温度への影響はそれぞれの単独添加時の影響と大差はなかった.
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© 1995 一般社団法人 日本歯科理工学会
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