歯科材料・器械
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原著
修復用コンポジットレジンの接着強度特性
第1報 打ち抜きせん断試験による評価
福田 秀昭宮入 裕夫
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1995 年 14 巻 3 号 p. 293-301

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抄録

修復用コンポジットレジンの接着強さ評価試験法として, 咀嚼に伴う咬合力を想定した打ち抜きによるせん断試験を行い, コンポジットレジンと歯質との接着強さについて基礎的な検討を行った. 本研究で採用した打ち抜きせん断試験法は4種類の被着材に円筒状の窩洞を形成し, コンポジットレジンを充填した試験体を圧子により打ち抜き接着強さを求める試験方法である. その結果, 打ち抜きせん断試験で得られたせん断強さはエナメル質で最も大きな値を示し, エナメル質/象牙質, 象牙質の順に減少する.エナメル質/象牙質のせん断強さは, エナメル質単体に比べ化学重合型レジンでは45%, 光重合型レジンでは29%減少し, エナメル質を含んでいるにも関わらずかなり小さな値を示した. これは, 象牙質の接着面積がせん断強度低下に大きく影響しているものと考えられる. そこで, エナメル質/象牙質試験体についてせん断力が作用する場合について検討した. その結果, 計算で求めた見掛けのせん断強さは実験で得られたせん断強さとほぼ同じ傾向を示した. これにより象牙質の接着面積は見掛けの接着面積に比べ小さくなっているものと推定できる. また, 打ち抜きせん断試験片にはコンポジットレジンと象牙質との接着界面に引張応力の影響によると見られるギャップが観察され, このギャップが接着面積減少の要因となり強度低下を招くものと考えられる. このように, 本研究で採用した打ち抜きせん断試験法は, コンポジットレジンの接着特性を評価する有効な試験方法である.

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© 1995 一般社団法人 日本歯科理工学会
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