歯科材料・器械
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原著
修復用グラスアイオノマーセメントの象牙質に対するぬれに関する研究
-粉液比ならびに表面処理剤の及ぼす影響-
長谷川 裕司日比野 靖
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1995 年 14 巻 4 号 p. 367-377

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抄録
 本研究の目的は粉液比ならびに表面処理剤の使用が修復用グラスアイオノマーセメントの象牙質に対するぬれ, ならびに接着強さに及ぼす影響について検討することである.
 市販の2種類の修復用グラスアイオノマーセメント(従来型ならびに光重合型)の象牙質に対する接触角, ならびに接着強さの測定をすでに報告した方法にしたがい行った.
 その結果, 従来型グラスアイオノマーセメントの象牙質に対する接触角は粉液比の影響が少なかった.光重合型ではその影響は大きく, 粉液比と接触角の間に相関関係が認められた(r=0.983).両タイプのセメントとも粉液比が大きくなるにしたがい接着強さが大きくなり, 粉液比と接着強さの間に相関関係が認められた(r=0.978, r=0.933).両タイプのセメントの象牙質に対する接触角は表面処理剤使用の有無による影響は少なかった.接着強さでは表面処理剤の使用により無処理と比較して有意に大きくなる結果を示した.
 以上のことから, 臨床においてはグラスアイオノマーセメント充塡時の表面処理剤の使用は有効であることが示唆された.
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© 1995 一般社団法人 日本歯科理工学会
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