抄録
一室加圧型チタン鋳造機の鋳込み特性を解明するため, X線透過写真による欠陥検査と流れ可視化法を用いたチタン湯流れ観察を行い, 二室加圧型の特性と比較した.湯流れの模様から流速の大きいことが推測され, これは大きな圧力(7 kg/cm2)が急激に作用したためと思われる.厚いキャビティでは, 乱流になる場合があり, そのとき凝固層が鋳壁全体を覆う時期が層流の場合より遅れ, 鋳壁を通って拡散したアルゴンガスにより内部欠陥が発生しやすい.薄いキャビティでは流れが遅いため, キャビティ全体の溶湯が行き渡る前に, 鋳壁を拡散してきたガスにより未充満空間の圧力が高くなり鋳込み不足が生じる.ただし, いずれの厚さの場合でも, 欠陥の非常に少ない鋳造体もあり, 拡散ガス量の影響が大きいと思われ, 鋳型通気性は不安定な因子であることが予想された.厚さの異なる部分を持ったキャビティに鋳込んだ場合, 厚い部分には内部欠陥, 薄い部分には外部欠陥が観察された.