抄録
コンポジットレジンを含む5種類の歯科修復用材料の摩耗を試作ずり摩擦摩耗試験器を用いて調べた.そしてコンポジットレジンと, それを含む他の材料間での摩耗機構を検討した.摩耗試験片としては, 2種のコンポジットレジンのほか, Ag-Pd-Au合金, Ni-Cr合金, ポーセレンを用いた.また対合材料としては2種類の加熱重合型コンポジットレジンを使用した.コンポジットレジンはBis-GMAとTriEDMA混合モノマー, シラン処理されたフィラー(平均粒径1.9μmと4.8μm)とから作製し, フィラー含有率は60wt%とした.コンポジットレジンを除くその他の試験片は歯科的方法で作製した.
摩耗試験の結果から, コンポジットレジンとそれを含む各種歯科修復用材料間の摩耗挙動は, コンポジットレジンのフィラー粒径の影響を受けることが示唆された.フィラー粒径が大きいとき, コンポジットレジンの耐摩耗性は顕著に向上した.またAg-Pd-Au合金, Ni-Cr合金, ポーセレンは, 大きなフィラーを含有するコンポジットレジンと対したときに, より優れた耐摩耗性を示した.