歯科材料・器械
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原著
動的抽出における金属の組み合せの影響
橋本 典也武田 昭二河出 任弘加山 勝敏中村 正明
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1996 年 15 巻 1 号 p. 14-19

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抄録
歯冠用金属材料のタイプIII金合金, 金銀パラジウム合金およびチタンを取り上げ, 同種あるいは異種の金属を2個ずつ組み合せて, 動的抽出した. すなわち, 1個を試料瓶底面に固定し, もう一方を自由に旋回させる方法を用いて, 240 rpmの旋回条件で5日間にわたって動的抽出したのち, 細胞生存率に基づく抽出液および濾液の細胞毒性を調べるとともに, 金, 銀, パラジウム, 銅, 亜鉛およびチタン量を測定した. その結果, 2個の金属を組み合せて動的抽出した場合, 金属の組み合せによって組成元素の溶出量に然が認められたものの, 細胞生存率には差が認められなかった. 今回の実験で, 最も多い溶出量を示したのは銅であったが, 最大でも0.83 ppmとわずかであった. その他の元素については, 0.1 ppm以下であった. 次に組み合せによる溶出量への影響をみると, タイプIII金合金を自由に旋回させた場合に溶出元素量は最も多く, 逆にチタンを自由に旋回させた場合に最も少なかった.
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© 1996 一般社団法人 日本歯科理工学会
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