歯科材料・器械
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原著
純チタンとTi-6Al-4V合金の湯流れの相違点
渡辺 孝一大川 成剛金谷 貢中野 周二宮川 修小林 正義
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1996 年 15 巻 2 号 p. 137-145

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抄録

純チタンとチタン合金(Ti-6Al-4V)の鋳造性の違いを検討するため, 充満過程の異なる3種のキャビティに鋳込んで, X線透過法による欠陥検査と標識元素溶解法により湯流れを観察した.F型で充満するキャビティでは純チタンと合金で鋳造性, 内部欠陥ともほとんど差は認められなかった。しかしながら、W型とB型で充満する場合, 合金の鋳造性が少し劣ることが確認された.メッシュ形態では合金による鋳造体で, 標識元素として使用された白金がほとんど検出されなかったことから, 合金の熱的性質が異なることが推定された.また合金のメッシュ鋳造体先端の元素分析から, 溶湯に凝固粒子を含んで流れていることが確認された.以上の結果, 合金の鋳造性の劣る原因は, 溶湯に凝固粒子が分散したことで, 粘性係数の増加したためであると結論された.

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© 1996 一般社団法人 日本歯科理工学会
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