歯科材料・器械
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15 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 渡辺 孝一, 大川 成剛, 金谷 貢, 中野 周二, 宮川 修, 小林 正義
    1996 年15 巻2 号 p. 137-145
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2018/04/05
    ジャーナル フリー
    純チタンとチタン合金(Ti-6Al-4V)の鋳造性の違いを検討するため, 充満過程の異なる3種のキャビティに鋳込んで, X線透過法による欠陥検査と標識元素溶解法により湯流れを観察した.F型で充満するキャビティでは純チタンと合金で鋳造性, 内部欠陥ともほとんど差は認められなかった。しかしながら、W型とB型で充満する場合, 合金の鋳造性が少し劣ることが確認された.メッシュ形態では合金による鋳造体で, 標識元素として使用された白金がほとんど検出されなかったことから, 合金の熱的性質が異なることが推定された.また合金のメッシュ鋳造体先端の元素分析から, 溶湯に凝固粒子を含んで流れていることが確認された.以上の結果, 合金の鋳造性の劣る原因は, 溶湯に凝固粒子が分散したことで, 粘性係数の増加したためであると結論された.
  • 寺岡 文雄, 北原 一慶, 高橋 純造
    1996 年15 巻2 号 p. 146-149
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2018/04/05
    ジャーナル フリー
    孟宗竹を乾留抽出した竹エキスをティシュコンディショナに添加し、in vitroにおいてCandida albicansに対する抗菌性や試料への付着, 硬さおよびぬれ性への影響について検討した.ティシュコンディショナの硬さやぬれ性(接触角)には, 竹エキスを10wt%まで添加した試料では影響はほとんど見られなかった.また, 竹エキスを添加したティシュコンディショナをHeart infusion(HI)寒天培地に浸漬した場合に, 竹エキスの流出はほとんど見られなかった.ティシュコンディショナの液に竹エキスを10wt%添加して作製した試料へのCandida albicansの付着はほとんど見られず, 抗菌性が認められた.
  • 内田 博文, 土生 博義
    1996 年15 巻2 号 p. 150-155
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2018/04/05
    ジャーナル フリー
    寒天・アルジネート連合印象で, アルジネートの接合時期が遅れ, 寒天がゲル化すると接合強さが大きく低下する.そこで, 寒天ゲル化後の接合強さを補強する目的で, ゲル状のシアノアクリレート系接着剤を塗布する方法を考案し, 寒天印象材3製品とアルジネート印象材4製品との組み合わせについて, 接合強さおよび作製された歯型の寸法精度を測定した。その結果, 寒天印象材とアルジネート印象材との組み合わせにおいて寒天ゲル化後の接合強さが小さい場合, 接着剤の使用が接合強さを向上させた。また, 歯型の寸法は従来法によるものよりも原寸に近く, 良好であった。
  • 米山 隆之, 中野 毅, 土居 寿, 小林 郁夫, 浜中 人士
    1996 年15 巻2 号 p. 156-160
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2018/04/05
    ジャーナル フリー
    チタンは一般の金属材料とは異なる特異な力学的性質に示すが, 本研究において, 鋳造したチタンの応力-ひずみ線図は試験片の直径により大きく変化することが判った.特に, 直径の増加に伴う伸びの増加が顕著に認められた.コバルトクロム合金について比較試験を行ったが, 鋳造欠陥への影響はあるものの, 最大伸びはほぼ同程度であり, 試験片の直径による材料の性質への影響は小さかった.チタンの場合, 純金属に近いため, 試験片の熱容量が凝固組織に直接影響し, チタンの特殊な変形機構と相まって伸びに影響するものと推察された.従来の歯科用合金に比較して, 鋳造チタンの力学的性質は様々な要因に影響されやすいため, 試験片の形状, 鋳造条件など細部にわたって考慮した上で評価する必要があると考えられる.
  • 河出 任弘, 武田 昭二
    1996 年15 巻2 号 p. 161-168
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2018/04/05
    ジャーナル フリー
    チタンおよびTi-6Al-4V合金の細胞接着性に対する硝酸および加熱処理の影響を調べるべく, 動的接触角を測定した.さらに, マウス結合組織由来のL-929細胞の相対細胞接着率の測定に加えて, 円錐円板型粘度計による定ずり応力負荷に伴う細胞の接着強さの測定を行った.その結果, 40%硝酸処理後では動的接触角に変化は認められなかったが, 加熱処理によって動的接触角は小さくなった.また, 定ずり応力を負荷しない条件下では, 800℃で1時間加熱処理群を除いて対照の培養用プラスチックシャーレに匹敵する良好な相対細胞接着率を示した.一方, 定ずり応力を負荷した場合, 定ずり応力の負荷時間が長くなるとともに細胞残留率は減少したが, 材料, 処理条件および培養時間のいずれにおいても差は認められず, 硝酸処理および加熱が細胞の接着性に対してほとんど影響を及ぼさないことが明らかとなった.以上の結果から, 細胞の接着強さはぬれ性からのみでなくより多面的な評価を行うことの必要性が明らかとなった.
  • 後藤 隆泰, 足立 正徳, 若松 宣一, 亀水 秀男, 飯島 まゆみ, 志水 雄一郎, 土井 豊, 森脇 豊
    1996 年15 巻2 号 p. 169-175
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2018/04/05
    ジャーナル フリー
    金属焼付用陶材の破壊靱性値(KIC)の評価に, シェブロンノッチ(CNB)法を適用した.Bluhmのスライスモデルを用いてコンプライアンスを計算し, Arガス中で四点曲げ試験を行い, シェブロンの形状, 支点間距離, クロスヘッドスピードの影響を検討した.その結果, KICはこれらの因子から大きな影響は受けていなかった.特に, クロスヘッドスピードに依存しないことから, Arガス中では, 最大荷重付近においては亀裂の安定成長は起きていないと考えた.また, 不安定破壊開始時の亀裂長さが大きくなると, KICはわずかに増加することが認められたが, 平均値としては1.11±0.08MPm1/2が得られた.更に, KICとヤング率から求めた破壊エネルギーは8.9±0.7J/m2であった.本測定から, CNB法はSEPB法よりも簡単であり, 陶材のような歯科用セラミックスのKICを評価のために有用な方法であると考えられる.
  • 昆 隆一
    1996 年15 巻2 号 p. 176-184
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2018/04/05
    ジャーナル フリー
    機械的性質が良好な生体材料を得ることを目的とし, 生体親和性の高い材料として知られているhydroxyapatiteに結晶化ガラスであるdiopsideを加え, ウィスカーを析出させた複合焼結体を作製し, その機械的性質および組織刺激性について検討を行った.
     diopsideおよびその複合焼結体はhydroxyapatite焼結体よりも圧縮, 圧裂などの機械的強さが向上し, 特にdiopside 60vol%以上の焼結体ではhydroxyapatiteの3倍であった.また, 生理食塩水に長期浸漬した複合焼結体は機械的性質が浸漬期間とともに低下した.
     diopsideおよびその複合焼結体はhydroxyapatiteと同じ病理組織学的な所見を示し, 生体親和性が認められた.
     強度および生体親和性の点から, 60vol% diopsideおよびdiopsideは骨補填材やインプラント材料として有用と考えられた.
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