歯科材料・器械
Online ISSN : 2188-4188
Print ISSN : 0286-5858
ISSN-L : 0286-5858
原著
リン酸八カルシウムの合成とアパタイトへの転化
伴 清治長谷川 二郎丸野 重雄
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 15 巻 3 号 p. 210-217

詳細
抄録
第2リン酸カルシウム二水塩(DCPD)と炭酸カルシウム塩の懸濁液を30〜80℃で化学反応させることによりリン酸八カルシウム〔Ca8H2(PO4)6・5H_2O, 以下OCPと略す〕を合成した.50〜80℃では薄刃状のOCP結晶がDCPD結晶板上に生成され, 時間の経過とともにハイドロキシアパタイト(HA)に転化した.転化したHAはCa/P比が約1.5のCa欠損アパタイトであった.DCPDの回折強度の減少, OCPおよびHAの回折強度の増加は反応時間の平方根に比例した.また, これらの変化速度は反応温度に依存していた.以上の結果は, これらの逐次反応の律速段階が各結晶粒子上のNernst境界層を通過するCaイオンの拡散過程にあることを示唆している.
著者関連情報
© 1996 一般社団法人 日本歯科理工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top