抄録
Ir0.03%を含む30Pd-15Cu-55Ag(AP), 12Au-20Pd-15Cu-53Ag(APG)母合金および格子点計画法の特殊3次計画法に従って, Zn, Sn, Inの総量が2%となるように母合金に添加した7種のAP, APG系合金を溶製, 鋳造し, 軟化・硬化熱処理した試料の比重と機械的性質を測定した.AP, APG系合金ともにZn2%添加合金の引張強さ, 硬さ, 弾性限, 耐力(強度関連特性値)が最も小さく, 伸びは最も大きく, Sn2%を添加した合金の強度関連特性値は最大となるか, 最大値と有意な差が認められない.Inは合金の強さと伸びを低下させる傾向がある.軟化・硬化熱処理した試料の強度関連特性値と鋳造試料の比重との間に有意な相関は認められないことなどを示した.以上からAP, APG合金に対しては, Sn2%以下, またはSn1%, Zn1%を添加するのが最良であると考える.