抄録
口腔環境下でのコンポジットレジンの色調変化を調べるため, 飲食物類似溶液に1, 000日間浸漬してその色調変化について測定した.また溶液浸漬後のコンポジットレジンを乾燥させた場合の色調変化についても測定し, 溶液浸漬前の状態と比較検討した.その結果溶液浸漬により, レジンの屈折率が変化し, その色調は変化する.しかし溶液浸漬後乾燥させた状態では溶液浸漬時よりさらに色調の変化は著しかった.これは長期にわたる溶液浸漬によりマトリクスレジンとフィラーの界面に微少な間隙(〓離)を生じ, そこに溶液が侵入して屈折率が変化して色調の変化を生じ, さらに乾燥するとこの部分が微細な空隙となり, その色調の変化が大きくなるためと考えられた.特に酸によってフィラー成分が溶け出すコンポジットではこの傾向が顕著であった.コンポジットレジンの透過光量試験においても溶液浸漬状態と乾燥状態では透過光量に差を生じていた.これは上述の考えを支持するものであった.