抄録
メチレン鎖長の異なる3種類のN-メタクリロイル-ω-アミノ酸(NMωA)を合成し, NMωAプライマーの象牙質接着性を検討した.すなわち, NMωA水溶液中に象牙質コラーゲンを共存させ, NMωAと象牙質コラーゲンとの相互作用の詳細について13C NMRピークの縦緩和時間の値の変化から調べた結果, NMωNのアミド基およびカルボキシル基が象牙質コラーゲンと相互作用を起こし, 両者の相互作用の強さはNMωAのメチレン鎖長が長くなるにつれて増大した.また, 脱灰象牙質に対するコンポジットレジンの接着強さはNMωA水溶液で処理することによって上昇し, 象牙質コラーゲンと強く相互作用を起こすNMωAほど高い接着強さを与えた.