歯科材料・器械
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17 巻, 2 号
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原著
  • 新井 泉, 安藤 準
    1998 年17 巻2 号 p. 99-107
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    細胞毒性試験において, 細胞毒性を有する物質の細胞周期回転への影響を定量的に解析することを試みた.10μMのCdCl2に曝露されたHeLa細胞, および2, 000または3, 200μg/mlのMMAに曝露されたヒト歯髄由来LSC細胞のDNA相対量を, 曝露後数時間ごとにフローサイトメトリーにて測定し, DNAヒストグラムの時系列データを得た.細胞周期回転は連続系システムとして数式モデルで表し, また化学物質の諸作用や培養条件の変化による変動を線形独立と仮定し, 偏微分の和によって表した.これらの化学物質のHeLa, LSC細胞への影響は, システムダイナミクスによってシミュレートし, 過渡状態を再現することにより, それぞれの細胞周期上の各期の間の移行率の変化として定量的に記述することができた.CdCl2はHeLa細胞に対してS期の進行およびG2期滞在時間を対照群のそれらに比較し20および25%延長した.MMAはLSC細胞のS期を対照群に対し50%, G2+M期を80〜83%遅延し, 分裂後約50%が正常G1期DNA量以下の細胞となった.
  • 桑畑 弘之
    1998 年17 巻2 号 p. 108-119
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    2種類の熱可塑性エラストマー(シンジオタクティック1, 2ポリブタジエン(BR), スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマー)をそれぞれPMMAに機械的にポリブレンドして粉末を作製した.次に, 粉液重合法で重合体を作製し, 動的粘弾性(G'& η'), 熱膨張率, 吸水率, 残留モノマー, 衝動強さおよび曲げ強さを測定した.エラストマーのブレンドによりG'(動的ずり弾性率)は, 温室から100℃範囲内ではPMMAのそれに比べて26%低下した, η'(動的粘性係数)はエラストマーの添加によって, 30.8%小さくなった.両材料の熱膨張量は, 空気中ではPMMAのそれに比べて小さくなるものの, 水中ではPMMAの熱膨張率と等しくなった.吸水量, 残留モノマー(MMA)はエラストマーの添加で増加した.また, エラストマーの添加で, 曲げ強さ, ひずみエネルギーも増加し, 衝撃強さは大幅に改善された.
  • 西山 典宏, 山本 桂子, 村松 安盛, 鈴木 一臣, 佐藤 達策, 根本 君也
    1998 年17 巻2 号 p. 120-125
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    メチレン鎖長の異なる3種類のN-メタクリロイル-ω-アミノ酸(NMωA)を合成し, NMωAプライマーの象牙質接着性を検討した.すなわち, NMωA水溶液中に象牙質コラーゲンを共存させ, NMωAと象牙質コラーゲンとの相互作用の詳細について13C NMRピークの縦緩和時間の値の変化から調べた結果, NMωNのアミド基およびカルボキシル基が象牙質コラーゲンと相互作用を起こし, 両者の相互作用の強さはNMωAのメチレン鎖長が長くなるにつれて増大した.また, 脱灰象牙質に対するコンポジットレジンの接着強さはNMωA水溶液で処理することによって上昇し, 象牙質コラーゲンと強く相互作用を起こすNMωAほど高い接着強さを与えた.
  • [タカ]橋 俊幸, 菊地 聖史, [タカ]田 雄京, 奥野 攻
    1998 年17 巻2 号 p. 126-139
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    近年, 生体材料の安全性が重要視されるようになり, 歯科用金合金にもより高い安全性が求められるようになってきた.金に少量のチタンを添加するとわずかに固溶するため, 生体安全性が高く, 審美性や機械的性質に優れた新しいタイプの金合金を開発できる可能性がある.そこで, チタン添加量を0.5〜2.0%とした金-チタン合金を作製し, 熱処理条件, 機械的性質, 組織, 色調を調べ, 歯科鋳造用金合金としての可能性を検討した.その結果, 歯科用合金として, 溶体化処理条件は1, 000℃, 10分間, 時効処理条件は600℃, 10分間が適当と考えられた.また, チタン添加量は1.0〜1.8%が適切と考えられた.金-チタン合金は, チタン添加あるいは熱処理を行うことで, 軟質から超硬質までの機械的性質が得られることが分かり, 歯科鋳造用金合金として多目的な応用の可能性が考えられた.
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