抄録
Bis-GMA系光重合型コンポジットレジン硬化物中の任意の深さにおける溶出可能な残留モノマー量を検討するために, アセトンで抽出した未反応モノマーを高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した.試験体は任意の深さ(0, 1, 2, 3mm)で硬化した状態をシミュレートできるように調製した.溶出モノマー量は表層からの深さが増加するとともに増大した.また, 照射時間の延長(80秒照射)は溶出モノマー量を減少させた.深部でのモノマーの溶出は, TEGDMAがBis-GMAを上回る溶出量を示した.本研究の結果から硬化したコンポジットレジン内部にはかなりの量の未反応モノマーが残留しており, これが口腔内へ溶出してくる可能性を有していることが示唆された.