歯科材料・器械
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原著
光重合法による曲げおよびねじり剛性を有する審美性矯正ワイヤーの試作
豊泉 裕亘理 文夫今井 徹山方 秀一小林 雅博
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1999 年 18 巻 6 号 p. 429-440

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抄録
生体親和性に富むCaO-P2O5-SiO2-Al2O3(CPSA)ガラス繊維とPMMAの複合による透明性の高い審美性FRP矯正ワイヤーの開発を行ってきた.このワイヤーは熱間引抜成形法により作製され,その断面形状は円形で矯正治療の初期において使用されるものに相当する.本研究ではワイヤーの成形法に光重合法を適用し,歯にトルク力を与えるために断面を角形とし,かつねじり剛性を有する新たな審美性FRPワイヤーの開発検討を行った. 強化繊維にCPSAガラス繊維を用い,マトリックス材に光重合型のUDMAを用いたFRPワイヤーは3点曲げ試験において十分な曲げ強さを示したが,ねじり試験では金属(Ni-Ti)ワイヤーの約1/10と小さなねじり荷重であった.マトリックス材をUDMAからコンポジットレジンに変えたFRPワイヤーでは,ねじり荷重はUDMAの場合と比べ4倍に増加し,金属(Ni-Ti)ワイヤーの約1/2までねじり剛性が改善した.FRPワイヤーの強化繊維は主として曲げ荷重に寄与するが,ねじり特性の向上には剛性の高いマトリックス材の適用が有効であることがわかった.
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© 1999 一般社団法人 日本歯科理工学会
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