生体医工学
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スペックルコントラスト光学分光法における組織血流計測深度の検討
山本 智也中林 実輝絵一之瀬 真志Tarle VikaOzana Nisan小野 弓絵
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 277_1

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抄録

スペックルコントラスト光学分光法(Speckle contrast optical spectroscopy: SCOS)は、CMOSカメラの露光時間にわたるスペックル変動の時間積分から生じる空間的なスペックルコントラストの変化に基づいて血流 を推定する非侵襲的な血流計測手法である。生体内の拡散光検出にマルチモードファイバーを使用するSCOSは、光子の時間変化をシングルモードファイバで検出する拡散相関分光法(Diffuse correlation spectroscopy: DCS)よりも信号対ノイズ比に優れるとされている。そのため本研究では、SCOSの有効な計測深度を調査することを目的として、健常若年成人1名の前腕表面に血流のない模擬生体組織として加工豚肉(ハム)、その上に計測装置を配置し、被験者の血流脈波の測定を試みた。送光・受光プローブ間の距離は3 cmとし 、模擬生体組織の厚さは0.5, 0.75, 1.0 cmの3条件とした。用いた光源は長コヒーレントレーザー装置(I0785MU0800MF-USB-M, IPS, パワー値:58.0mW)であった。受光部に用いた光ファイバーは、マルチモードファイバー(FT1000EMT, Thorlabs ,0.39 NA, 直径:1000 µm)であった。計測した血流波形から脈波成分を確認可能な模擬生体組織の厚さの上限は0.75 cmであった。本研究の設定条件において,SCOSは皮膚表面から少なくとも0.75 cm程度の深さ範囲の血流検出能を有することが示唆された。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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