抄録
表面改質技術を応用し,チタン鋳造体試料を真空炉内でチタン鋳造体を変態温度以下で熱処理を行った.この処理によりチタン表面を拡散浸透固溶の傾斜機能層の形成することを目的とした.チタン材料は市販純チタン(CPチタン)およびTi-6 Al-7 Nb合金を使用して鋳造体試料を作製した.表面改質処理に伴うこれらの試料を,引張強さ,伸び,ビッカース硬さ,加熱処理時の変形量の計測,SEM像観察を行った.その結果,表面改質処理を行うことによってチタンの表面硬さは増大した.しかし,引張強さに影響は認められなかった.加熱処理によって鋳造体の変形はなかった.伸びはわずかに増大したが,処理前後における金属の種類によって伸びに有意差は認められなかった.表面SEM観察像からチタン鋳造体表層部に限局した改質が明らかであった.