抄録
鋳造用リングライナーの緩衝能を表すパラメータとして,埋没材の吸水膨張に対するワセリン塗布ライナーの緩衝効果について検討した.ライナーは,セラミックファイバー系15種(A群:ロックウール系,B群:セラミックファイバー低温系,C群:セラミックファイバー標準系,D群セラミックファイバー低温〜標準系,E群:カオリン系)を用いた.硬化膨張測定器移動枠にワセリン塗布ライナーを装着して埋没材の吸水膨張率を120分間測定し,ライナー装着なしでの吸水膨張率との差,すなわち,緩衝量から緩衝効果を検討した.その結果,埋没材の吸水膨張に対するライナーの緩衝量は,練和開始20分後まで増加して最大を示したのち,急激に減少して30〜45分後で最小を示し,その後はわずかに変動する傾向を共通して示した.注水した練和開始15分以降120分まで緩衝量が正の値を示したのは11製品であった.緩衝量の最大値は,D群が最も大きかった.