抄録
開発中の生体親和性に富むCaO−P2O5−SiO2−Al2O3(CPSA )ガラス繊維とポリマーマトリックスとの複合による審美繊維強化プラスチック型(FRP)矯正ワイヤーの臨床応用にはアーチ形状が必須であるが,従来の熱間引抜法では直線形状に限定される.本研究では作製法として光重 合法を採用し, マトリックス材にウレタンジメタクリレート(UDMA )レジンを用いて既製の金属ワイヤーを原型 とするアーチ型FRPワイヤーを試作し,形状寸法の検討および機械的特性についての評価を行った.試作ワイヤーのアーチ 幅径は原型に対し0.1〜0.2 mm(前方),0.4〜0.7 mm (後方)の減少,断面寸法はほぼ一定 (0.47〜0.48mmφ) で あ り,成形体は良好な寸法精度を示した.また,曲げ試験からガラス繊維体積分率を10〜60% と変化させることによりヤング率を5〜40GPaに可変できることが示された.アーチ型の実現はFRPワイヤーの臨床への適用に寄与するものと考えられる.