歯科材料・器械
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原著
フルオロカーボン鎖を導入した新しい義歯床用裏装材
秋葉 徳寿柯 恩生早川 巖畑中 憲司
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キーワード: 裏装材, 耐汚染性, 着臭
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2002 年 21 巻 6 号 p. 323-327

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抄録
本研究の目的は,液成分にフルオロカーボン鎖を導入したメタクリレートモノマーを用いた試作常温重合型床用裏装材(HR)の理工学的性質を検討することである.さらに,臭気物質を指標とした耐汚染性の評価を試みた.着臭性試験は,臭気物質として口臭の強さと強い相関があるメチルメルカプタン水溶液を用い,24時間浸漬後の揮発ガス濃度を測定した.HRの着色性,吸水量,溶出量,着臭量は,市販の裏装材よりも有意に低い値を示した(p<0.05).また,硬さ,せん断接着強さは,フルオロカーボン鎖を導入したことによる理工学的性質の低下は認められなかった.以上の結果から,HRは優れた耐汚染性を有しており,かつ十分な理工学的性質を有していることが明らかとなり,臨床的に有用な裏装材であることが示唆された.
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© 2002 一般社団法人 日本歯科理工学会
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