抄録
仮着用セメントの機械的強さに対する水分の影響について検討した.実験には市販仮着用セメント(カルボン酸系, ユージノール系ペースト型, ノンユージノール系ペースト型, ユージノール系粉液型を各2種類)を用いた.試料を練和開始後1時間から672時間まで37℃大気中, 水中浸漬ならびに湿潤状態で保管し, 圧縮強さと間接引張強さを測定した.乾燥状態に保管したカルボン酸系セメントは, 湿潤・水中浸漬状態よりも経時的に強さが有意に増加した.ユージノール系セメントの強さは, 製品により異なる変化傾向を示した.ノンユージノール系ペースト型材料では試料の保管状態や練和開始からの経過時間の強さに対する影響は少なかった.粉液型やペースト型といったセメントの供給システムの違いも機械的強さの変化に影響する要因と考えられた.