2006 年 25 巻 1 号 p. 47-53
オールインワン・アドヒーシブシステムの酸性レジンモノマー溶液は脱灰力が比較的弱いことから, 被着面上に生じたスミヤー層の厚さにより接着性が影響されることが危惧される.本研究では, 粗さの異なる耐水研磨紙で研磨した象牙質に対する2種オールインワン・アドヒーシブシステム, i BondおよびG-BONDの微小引張接着強さの測定およびSEMによる各材料の脱灰能を観察し, 研磨面性状が象牙質との接着に及ぼす影響について検討した.2種オールインワン・アドヒーシブシステムの脱灰能は弱く, 微小引張強さは研磨面性状の影響をほとんど受けなかった.研磨面性状が粗い場合, 破断面に露出したアドヒーシブレジン層に多数の大きさの異なる空隙が観察された.接着の破断には接着界面に生じた欠陥構造が起因し, i Bondにおいては研磨面性状が象牙質接着強さに影響を及ぼすことが明らかとなった.