抄録
基本金合金80wt%Au-20wt%Cuと,それに1wt%Co,2wt%Co,3wt%Coを添加した組成の歯科用金合金を試作した.ADA規格Type IVの市販歯科用金合金を比較に用いて,溶体化処理および時効硬化処理後のビッカース硬さ,引張強さ,伸び,破断面のSEM観察,金属組織観察,X線回折および耐食性の諸特性を調べた.時効硬化処理後の機械的性質はCo添加により顕著に向上し,2wt%Coおよび3wt%Co添加金合金はType IV金合金と同等以上になった.ICP発光分析による擬似体液浸漬後のCuおよびCoの合金元素溶出量は市販の金合金およびコバルトクロム合金と同等であった.Au-Cu-Co金合金はType IV金合金とほぼ同等の諸特性を示し,優れた歯科用金合金であると考えられる.
